夢で男性は、サービスエリアの食事処で知人とかけうどんを食べていた。うどんをすすっている知人の手元をなんとなく見つめていると、ふと違和感に気づく。知人の指が、明らかに不自然な方向へと曲がっていたのだ。さらによく見ると、知人の顔もいつもと微妙に違っている。
男性「な、なんだ…?昨日の酒がまだ抜けてないのか…?」
周りがおかしいのか、はたまた自分がおかしいのか。とはいえ昨日は早い時間に飲み終えたし、アルコールは関係していなさそうだ。
日常生活の片鱗を覆う小さな違和感。その奇妙な感覚は、AIで動画を生成した時に見られるエラーに近いものだった。店内を見渡すと、異常は次々と目に入ってくる。
他の客が持つ箸は手の甲を貫通しているし、自分の食べていたうどんは得体のしれない緑色の麺になっている。そしてお椀には、何故か3本の箸が浸かっていた。
卓上のメニュー表や、入り口に見える看板の文字も、よく見ると存在しない言語に化けている。耐えきれなくなった男性は、周囲の異常から逃げるようにトイレへ駆け込んだ。
トイレの中は静かで、先ほどまでの不安が少しだけ和らいだ気がした。ここで考え事でもして少し落ち着こう。男性は個室トイレに入ろうとドアに手をかける。すると、ちょうど違う個室から出てきた男と目があった。その男の顔は、どの客や店員よりもいびつな形状をしており、表情を変えず、ただじっと男性の目を見つめている。
男性「ここも駄目だ。出なければ。」
男性は急いでトイレを飛び出した。店内は先ほどとまた少し変わっていた。机の色や形、看板の配置、客や店員の顔など、見えているすべてが時間の経過とともに変形していくその様子は、頭の中を掻き回されるように不快な感覚だった。その上、まるでAIの世界に閉じ込められたかのような息苦しい気持ちにもなった。
そんな男性に追い打ちをかけるようにトイレの方からさっきの男の声が聞こえる。
「気づいたよね。命の歪みはもう始まってるよ。」
気づけば自分の身体や服さえも目まぐるしく変形を繰り返していた。自分の手を見ていると、細くなったと思えば老け、次の瞬間には太くなり、また若返る。
男性「一体何が…おかしかったんだっけ…」
もはや何が違和感だったのかすらわからなくなっていった。そして気づくと、うどん屋だったはずの店内は駅のホームへと変わっていた。
変形は静まり、世界は落ち着いたように見える。男性はただ呆然としながら、暗いホームに一人ぽつんと佇んでいた。
ここで目が覚めた。
男の出現はこの夢を最後に途絶えている。