ある蒸し暑い夜、男性の夢の中で恐ろしい男と対峙した。
男性は夢の中で戦士として戦場に立っていた。男性のいる軍には、過去に数々の戦果を挙げた三人の英雄「シード」「エース」「オール」がいる。シード、エース、オールの三強は、兵長の指揮のもと、それぞれ軍を先導する形で突き進み、こちらへ向かい来る何百人の敵軍を自慢の腕前で次々と撃退していく。
男性や他の兵士らも三人に負けじと敵軍を迎え撃つ。最初は多かった敵軍も次第にまばらになり始め、疲弊していく様子も見て取れた。こちらにはまだ100人以上の友軍が揃っている。男性はこの紛争の勝利を確信した。
その時、戦場に一段と大きな銃声が3回鳴り響いた。間もなくして男性は、倒れているシードとオールを発見し、何者かが二人の頭を撃ち抜いたことに気がついた。敵軍の方を見ると、その中心には左手に拳銃を握った殺し屋のような身なりをした男が隠れもせず、仁王立ちをしてこちらを見ていた。
三強のうち唯一男の銃弾を間一髪で避け生き残ったエースは、より一層警戒を強めながらその男を狙った。しかし、男の恐ろしく早く、かつ正確な追撃にエースは反撃するどころか銃弾を躱すこともできず頭を撃ち抜かれ、三強は一瞬にして全滅してしまった。
一瞬の静寂の後、友軍の兵士たちは動揺しながらも、一斉に追撃を開始した。しかし、どれだけ発砲してもなぜか男には当たらない。一方で男は驚異的なスピードで友軍の兵士たちを次々と撃ち抜き始める。
兵士A「兵長!このままではやられてしまいます!」
兵長「………………。」
兵士B「どうしますか、兵長!」
兵長「……全員、一斉に退避しろ!!」
友軍の兵士たちは攻撃を断念し、一斉に逃げ始めた。男は逃げる兵士らを人間離れした速さで続々と撃ち抜いた。兵長と生き残った兵士らは必死に走り続け、なんとか最寄りの駅まで辿り着いた。この時点で生き残ったのは男性を含めて8人だけだった。
男性らは発車間近の蒸気機関車に飛び乗り、男から逃げた。走行する汽車にしがみつきながら、男から逃れられたことに安堵していたのもつかの間、銃声と共に一人の兵士が倒れ、汽車から落ちていった。銃声の先には、汽車に並行して走る黒いセダンから銃を構える男の姿が見えた。
「不審な車を確認!兵長…!奴です!」
男性がそう叫んだ直後、銃声が響き渡り、兵士がまた一人線路に落ちた。緊迫した状況の中、先頭の兵長が全員に指示を出した。
「運転室に避難するぞ!急ぐんだ!」
兵士たちは一斉に移動を開始した。その間も男からの攻撃は続き、さらに二人の兵士が線路に落下した。なんとかして運転室へ辿り着いたのは4人。窓の外を見るとすでに男は運転室のすぐ横にまで迫り、こちらに向かって銃口を向けていた。
ほどなくして男の放った銃弾は分厚い窓を突き破り、男性の右腕を貫いた。夢はここで終わった。