男の目撃情報は複数あるが、
今回はその中から2つ抜粋して紹介する。
ある日、20代の女性は忘れがたい不快な夢を見た。彼女はアルゲンタヴィスのように巨大な鳥の羽の上に乗り、ビル群の上空を飛翔していた。強風に振り落とされないよう、彼女はしっかりと鳥にしがみつきながら進んでいった。
すると突然、空が不気味な赤色に染まった。鳥はその直後、急速に力を失い、墜落の危機に瀕した。女性は必死に鳥を最も高いビルの上へと導き、なんとか危機を回避した。ビルの屋上に不時着すると、切れ目の入ったハットをかぶった男が風に揺られながら立っていた。
「女か。ちょうどいい。お前に良いものを見せてやろう。」
男はそう言ってから天に向かって手を掲げた。その瞬間、空の色はさらに濃く、不気味な赤に変わった。屋上から街を見下ろすと、異様な光景が広がっていた。通行人や車の中の人々、ガラス張りの店内にいる人々までもが悶え苦しみ、倒れ込んでいくのが見えた。倒れた人々はいずれも赤く変色し、マグマのように発火を始めた。瞬く間に、そこにいたほとんどの人間が命を落とした。
一方で、カラスと若い女性だけは生き残っているようだった。
「私と一緒に来い。断ればお前もああなる。」
女性は仕方なく男についていくことにした。
男は彼女を港へと連れて行った。港には白い船が待機しており、二人はその船に乗り込んだ。ここで彼女は目を覚ました。
30代の女性はある晩、悪夢にうなされていた。場所は夜の渓流で、川の中から現れたのは体長5メートルを超える牙を持った黒い悪魔のような怪物だった。怪物は女性に噛み付こうと口を開け、鋭い牙を女性の頭に近づける。女性は瞬時に髪からヘアピンを取り外し、それを怪物の足に突き刺した。
この行動に激怒した怪物は、女性を手で掴み上げた。女性が怪物に怯えていると、頭上から3体の精霊が降り立ち、白い光を放ちながら女性を守り始めた。精霊たちは女性を囲み、手を繋いで美しいメロディを響かせる。すると、怪物はたちまち苦しそうに顔を覆い、黒い煙を立てて消え去った。女性は感謝の言葉を口にした。
「精霊さん、ありがとう。」
さらに周囲には次々と精霊たちが集まってきた。草の葉で覆われた植物の精霊、燃え盛る炎を宿す火の精霊、宝石や岩から成る石の精霊、そして先ほど女性を守っていた光の精霊など、女性の周りには50を超える多種多様な精霊が集結した。あたりには甘い果実のような心地よい香りが漂っている。
精霊たちと会話を楽しんでいると、突然目の前の地面がマグマのように赤く光り出し、グツグツと音を立て始めた。そして、そのマグマの中から悠々と現れたのは、顔に傷のついた怪しげな長身の男だった。
「御覧に入れよう。私の全てを。」
男はそう告げ、口角をわずかに上げた後、大きく手を天に振り上げた。空は瞬く間に赤黒く染まり、精霊が次々ともがき苦しみ始めた。植物の精霊は枯れ果て、火の精霊は炎を失い、石の精霊は粉々に砕けてしまった。周囲にいた精霊たちは、わずか10秒足らずで全滅した。
「なんてこと…」
女性は思わず呟いた。男はその言葉に応じた。
「愚民を救おうとする価値のない存在を、私はただ消し去っただけだ。」
男の周囲は、煮えたぎるような赤い覇気に包まれている。男は女性の顔を見て、ひらめいたように微笑みながら言った。
「そうだ。お前が最も大切にしているものを消してやろう。」
男は再び手を大きく振り上げる。空はさらに深い赤に染まっていく。空からは天使の悲鳴が響いてくる。
気づいた時には、女性の両腕は消失していた。ピアニストである彼女は、その事実に気づいた瞬間、絶望し叫びながら膝をついて崩れ落ちた。
男は絶望する女性を見て、満足げに微笑みながら再びマグマの中へと戻っていった。
ここで目が覚めた。